布団で横になると咳が出る…
一回咳をしはじめると止まらない…
そんな経験はありませんか?
そんなときに漢方相談でよく話題にあがるのが「麦門冬湯」です。ただし咳の原因は人によって違い、どなたにも合う漢方薬ではありません。このページでは、麦門冬湯がどんな漢方薬なのかと、飲む前に確認しておきたい注意点をお伝えします。
なんで夜に咳が出るの?
夜に咳が出る原因は様々あります。
原因によっては使う漢方薬も全然違いますのであなたのタイプはどれか考えてみましょう♪
1.自律神経の乱れで起こる
自動で身体のバランスをとっている神経、つまり自律神経に乱れが出ている場合、咳が出ることがあります。
睡眠するときはリラックスするときに働く「副交感神経」が働きます。
副交感神経が働くと気管が少し細くなります。
気管が細くなった結果、咳や喘息の発作が出ることがあります。
2.布団のハウスダストが原因
ハウスダストやダニなどを吸い込んで咳が出てしまう場合があります。
羽毛布団なども関係していることもあります。
3.乾燥からくる場合
部屋が乾燥しているため、気管が乾燥して炎症を起こしている。
その結果咳が出る場合があります。
4.その他
その他にも逆流性食道炎や心臓のご病気があって咳が出たりと
元々のご病気があって咳が出ることもあります。
咳という症状だけでも原因は様々です。
麦門冬湯は肺が乾燥して咳がでる時に使う漢方薬です。
上のタイプで、特に乾燥しているときに咳が出る方に合う漢方薬が「麦門冬湯」です。
「麦門冬湯」が合うタイプの咳とは…
痰はあまり出ないまたは粘りが強い痰が出る
咳の音としては空咳、痰が絡まないような乾いた音がする。
痰を出そうとして咳が出る。
酷い場合は咳が止まらない、止まらなくて顔が赤くなる。
こうした咳の出方は、漢方相談で麦門冬湯を検討するときの手がかりのひとつになります。ただしこれだけで決まるものではなく、体質や一緒に出ている症状、いま飲んでいるお薬もあわせて確認します。
逆に、合いにくいのは次のようなタイプです。痰が透明でたくさん出る、体力があって痰の多い咳が出る、飲み始めてから痰がかえって増えた・咳が増えたと感じる。こうした場合は麦門冬湯の想定から外れていることが多く、続けるかどうかを処方元の医師・薬剤師にご確認ください。痰が多いタイプに検討される漢方薬は、後半の「他に咳に使う漢方薬ってあるの?」で触れています。飲み始めてからの咳の増加に息切れ・発熱を伴うときは、下の「気をつけたい副作用」を先にご確認ください。
咳の出方が近いと感じた方は、LINEで相談内容を送ることからでも構いません。
麦門冬湯ってどんな漢方薬??
「麦門冬湯」の中身について説明します。
「麦門冬(バクモンドウ)」
「半夏(ハンゲ)」
「人参(ニンジン)」
「甘草(カンゾウ)」
「粳米(コウベイ)」
「大棗(タイソウ)」
以上の6種類の生薬が含まれている漢方薬です。
特にキーとなるのが「麦門冬」「人参」ではないかと思います。
「麦門冬」「人参」が滋潤剤といって体に水分を保つように働きます。
乾燥で咳が出るタイプの方に、漢方相談でまず候補にあがる漢方薬です。
出典は『金匱要略』の肺の病の篇で、「気が大きく逆上して、のどがすっきりせず」という咳に、逆上する気を止めて下ろす処方として書かれています。原方の分量が面白くて、麦門冬が七升に対して半夏は一升。潤す麦門冬を、乾かす性質の半夏の7倍入れています(今のエキス製剤では比率が違いますが、潤す側を厚くする考え方は同じです)。
私はこの配合比が麦門冬湯の芯だと思っています。半夏は痰を切って気を下ろす生薬ですが、乾かす性質があるので、乾いた咳にそのまま使うと、かえって乾きを強めかねません。そこを大量の麦門冬で包んで、下ろす力だけを借りる。人参・甘草・大棗・粳米は胃を養って、潤いを作る土台を支えます。だから合うのは、痰が少なくて切れにくく、のどがイガイガして咳き込みが続き、夜から明け方に強くなる方。逆に、痰が多くて水っぽく、鼻水も出るような咳は、乾いているのではなく水が余っている咳なので、麦門冬湯では的が外れやすいと見ています。咳の音と痰の質を最初に伺うのは、この見分けのためです。
麦門冬湯の効能・効果(添付文書から)
痰の切れにくい咳、気管支炎、気管支ぜんそく
体力中等度以下で、たんが切れにくく、ときに強くせきこみ、又は咽頭の乾燥感があるものの次の諸症:からぜき、気管支炎、気管支ぜんそく、咽頭炎、しわがれ声
市販薬(一般用)の効能・効果には「体力中等度以下で」という体力の条件が付きます。
麦門冬湯を飲む前に確認したい注意点
以下の注意は、医療用・市販品の添付文書(2026年9月時点)の記載をもとにまとめています。
妊娠中・授乳中の方
医療用では、麦門冬湯は「妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」とされています。授乳中の方についても、「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」とされています。市販の麦門冬湯(ツムラ漢方麦門冬湯エキス顆粒)でも、妊婦または妊娠していると思われる方は、服用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談することとされています。妊娠中・授乳中の方は、ご自身の判断で飲み始めず、まず医師・薬剤師にご相談ください。
ほかの漢方薬との重複に注意が必要です
麦門冬湯にはカンゾウ(甘草)が含まれます(医療用では1日量9.0g中にカンゾウ2.0g)。医療用では「本剤はカンゾウを含有するため、血清カリウム値や血圧値等に十分留意すること」とされています。また、カンゾウを含む他の漢方製剤(芍薬甘草湯、補中益気湯、抑肝散など)やグリチルリチン酸を含む製剤と併用すると、偽アルドステロン症や、低カリウム血症の結果としてのミオパチーがあらわれやすくなるとされています。
咳に使われる漢方薬にはカンゾウを含むものが少なくありません。後半で挙げる小青竜湯・五虎湯にもカンゾウが含まれます。咳の漢方薬を重ねて飲むと、気づかないうちにカンゾウが重複することがあります。また小青竜湯・五虎湯にはマオウも含まれ、市販のかぜ薬・鼻炎薬と重なると動悸・不眠などが出やすくなります。複数の漢方薬を飲むときは、必ず医師・薬剤師にご相談ください。
気をつけたい副作用
医療用で重大な副作用として挙げられているのは、間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパチー、肝機能障害・黄疸です。
とくに注意したいのが間質性肺炎です。咳、息切れ・呼吸困難、発熱、肺音の異常があらわれることがあるとされ、麦門冬湯を飲む目的である咳そのものと症状が重なります。「効かないからもう少し飲んでみよう」と続けるのではなく、空咳・息切れ・発熱が新しく出たとき、または強くなったときは、いったん服用をやめて、処方元の医師・薬剤師にすぐご連絡ください(副作用が疑われるときは、漢方相談より先にこちらをお願いします)。
そのほか、むくみ、体重の増加、血圧の上昇、手足のだるさ・しびれ・つっぱり感、力が入らない、皮膚や白目が黄色くなるといった症状に気づいたときも、服用を中止してご相談ください。その他の副作用として、発疹・蕁麻疹等の過敏症が報告されています。
飲み続けてよいかどうか
医療用では「経過を十分に観察し、症状・所見の改善が認められない場合には継続投与を避けること」とされています。市販薬でも、服用しても症状がよくならない場合は、服用を中止して医師・薬剤師・登録販売者に相談することとされています。漫然と飲み続けず、一度ご相談ください。
先に医療機関で確認したい咳
次のような場合は、漢方薬で様子を見続けずに医療機関を受診してください。咳が2週間以上続く、血痰が出る、息切れや呼吸のつらさがある、発熱が続く、短期間で体重が減った、夜間に呼吸が苦しくて目が覚める、胸の痛みがある。このページの前半でも触れたとおり、横になったときの咳は、逆流性食道炎や心臓の病気などが背景にあることもあります。麦門冬湯の対象範囲ではない病気が隠れていることがあるため、まず医療機関で診てもらうのが先です。ぜんそくで吸入薬や発作止めを使っている方は、それらを減らしたり中止したりせず、続けながらご相談ください。
麦門冬湯にも種類があります
漢方薬は、同じ処方名でも、メーカーによって剤形(エキス顆粒・煎じ薬など)や製法が異なります。「麦門冬湯」も複数の形があり、配合されている人参の種類が製品によって異なる場合があります。
ただし、どの製品が優れているかを一律に決めることはできません。当店では、お悩みや体質に合わせて麦門冬湯を使い分けていますが、いまお飲みの麦門冬湯について気になる点があれば、処方元の医師・薬剤師、または当店にお尋ねください。当店にご相談の際は、いま飲んでいる麦門冬湯の箱かお薬手帳をお持ちください。
他に咳に使う漢方薬ってあるの?
勿論ありますよ。
痰が透明でたくさん出る場合「半夏厚朴湯」や「小青竜湯」
痰がたくさん出る場合は「五虎湯」
麦門冬湯みたいに空咳だけど喉がめっちゃ乾く場合は「竹葉石膏湯」
など、咳に使う漢方薬は沢山あります。
使い方を間違えると効果が出にくいので、使い分けは咳の出方や体質で決めます。どれが近いか迷うときは、当店にもお気軽にご相談ください。
麦門冬湯を使うときのポイントまとめ
いかがでしたか?
1.空咳で痰が出にくいときに検討される漢方薬です。
2.痰が少なく切れにくい、のどが乾いて咳き込む方に向き、痰が多く水っぽい咳では的が外れやすい処方です。
3.カンゾウの重複や、間質性肺炎などの副作用の目安は、上の「飲む前に確認したい注意点」をご確認ください。
当店にも、夜の咳や長引く咳でお困りの方がよく相談に来られます。病院の治療はそのまま続けていただきながら、咳の出方や体調に合わせて漢方薬を一緒に考えています。
気軽にご相談くださいね。
長引く咳・咳喘息そのもののご相談は、症状別のページでもご案内しています:慢性咳嗽(長引く咳)の漢方相談/咳喘息の漢方相談。
咳以外のお悩みは、症状別の漢方相談ページから探せます。
費用が気になる方は、相談前に料金の目安もご確認いただけます。無理な購入をおすすめすることはありません。
気になる点だけでも、LINEやお電話でお聞かせください。
いきなり相談するのは気が引ける、という方は、先にLINEの「かんたん体質チェック」(13問・お名前不要・1〜2分)をお使いください。私が回答に目を通して、体質面から見たポイントを原則翌営業日までにLINEでお返しします。
かんたん体質チェックに答える(LINE)
LINEで相談内容を送る お電話: 072-464-1181 ご予約フォーム
本ページの内容は、麦門冬湯(医療用医薬品・一般用医薬品)の構成生薬や添付文書の記載などをまとめた情報提供であり、特定の方の治療効果や効能を保証するものではありません。服用中の薬がある方、症状が急に悪化した方、妊娠中・妊娠の可能性がある方・授乳中の方は、医師・薬剤師にご相談ください。
※ 添付文書の効能・効果および注意事項の記載は、2026年9月時点で各社の公表内容を確認したものです。
※ 漢方薬の体感には個人差があり、症状の変化を保証するものではありません。急な症状の悪化や救急の場合は、医療機関の受診を優先してください。

コメント