「知り合いに勧められたけど私に合うかな?」
「漢方薬も副作用があるって聞いたけど大丈夫かな?」
「効果っていつから出るんだろう??」
加味逍遙散(カミショウヨウサン)はどんな漢方薬でどんな人にあうのか
ゆったりとした気持ちで見てみてください。
この記事はこんな方におすすめ
- 加味逍遙散について知りたい!
- 私も飲んでみたい!けど合うかな?
- 飲んでるけど副作用とかいつ効果出るのか気になる!
加味逍遙散は不定愁訴によく使う漢方薬です。
早速難しい単語が出てきました。
不定愁訴(ふていしゅうそ)というのは「頭が痛い、眠りが浅い、何となく体がだるいなど体の症状はあるが、検査をしても異常が出ない状態」のことをいいます。
医療機関では不定愁訴といえば加味逍遙散、更年期障害といえば加味逍遙散という具合でよく使われる漢方薬でもあります。
でも、漢方薬自体選び方が検査を必要とするわけではなく、身体の症状や体質から選ぶんです。
ですから、不定愁訴、更年期障害だから加味逍遙散という選び方は少し乱暴なような気もします。
加味逍遙散ってどんな人に合うの??
加味逍遙散の構成生薬ですが、
当帰3g(トウキ)
芍薬3g(シャクヤク)
白朮3g(ビャクジュツ)
茯苓3g(ブクリョウ)
柴胡3g(サイコ)
甘草2g(カンゾウ)
生姜1g(ショウキョウ)
薄荷1g(ハッカ)
牡丹皮2g(ボタンピ)
山梔子2g(サンシシ)
と上記の10種類の生薬が含まれている漢方薬です。
(どこの文献からとってくるかで比率が違いますが。)
中身を大雑把に分類すると…
当帰・芍薬 | 補血作用 |
白朮・茯苓 | 利水作用 |
柴胡・薄荷 | 理気作用 |
山梔子・牡丹皮 | 清熱・駆瘀血作用 |
血虚といって血が少ない状態を助けてくれる「当帰・芍薬」
めまいや食欲不振が起こる体の中の水を流してくれる「白朮・茯苓」
自律神経が乱れて気の巡りが悪くなっている状態に対して「薄荷」
イライラや肩こりなど、血流が悪いために起こっている状態に対して「山梔子・牡丹皮」
以上のような生薬を集めて加味逍遙散という漢方薬になっています。
どのようなタイプに合うか効能効果から引っ張ってきますと…
「やや体が弱いタイプの女性で手足が冷えやすいのに全身が熱くなったり、発汗する。肩がこりやすく、疲れやすい、頭痛や、頭が重い、動悸がしやすかったり、すこし睡眠状況が悪く、イライラしたり、不安や憂鬱な感じがあり、生理不順な女性であったりする。」
となっています。
「私めっちゃあいそうやん…」って思われたかもしれませんが、意外とこの漢方薬合う人少ないんですよね。
加味逍遙散が合いそうな方は
患者さんの手帳
〇月〇日 頭痛とめまい
〇月△日 肩こりと頭が重い
〇月×日 めまいとイライラ
・
・
・
みたいにたくさん書いてこられる場合もあります。
(もちろんここだけで加味逍遙散!って決めつけるのもよくないですが)
他にも、駆瘀血作用のある「牡丹皮」
この生薬がなかなかの厄介者だったりします。
血流を良くするというところだけではよさそうに聞こえますが、炎症を取るくらい作用が強い生薬でもあります。
胃腸の弱い方が飲むと体調を崩したりする場合も多いので「病院で加味逍遙散もらって飲んだら体調崩したからあってる漢方教えてください」。
って当店にご相談に来られる方もいらっしゃいます。
加味逍遙散って名前にも意味があります。
漢方の考え方として「逍遙熱」といわれるものがあります。
「逍遙熱」とは急に背中がカーッと熱くなる状態のことを言います。
更年期症状で顏から汗が出ることもあると思いますが、それも見方を変えると「逍遙熱」ととらえてもいいかもしれませんね。
また、「加味」「逍遙散」という名前ですので、逍遙散という漢方薬に「山梔子・牡丹皮」を加えた漢方薬でもあります。
逍遙散は清熱部分である「山梔子・牡丹皮」を抜いている漢方薬ですので、例えば、イライラや肩こり、頭痛が強くない場合に用いたりします。
どちらかというと「逍遙散」の方が現代日本人に合う人が多いかもしれません。
加味逍遙散の効果はいつから出るのか??
当店では早い人であれば1週間しないうちに、遅い人なら1.2ヶ月後ぐらいでしょうか。
漢方薬でたまにあるのは飲まれているご自身はあまり感じないが、周りの人たちが見ると「調子よさそうになったなぁ」と感じる場合も多いです。
ただ、自分の体に合っていない漢方だといつまでたっても効果は出ないですし、いわゆる副作用が出てくる場合もあります。
加味逍遙散の副作用は理由もなく長期に飲むと出る場合が多いです。
加味逍遙散にも副作用はあります。
例えば、甘草が原因で起こる偽アルドステロン症が有名だと思われます。
簡単に言えばカリウム不足の体になって、体がむくんだりします。
これは加味逍遙散の問題というよりは、他の甘草が多い漢方薬(たとえば芍薬甘草湯)と一緒に飲んだ場合に起こりやすいと思います。
「加味逍遙散しか飲まないよ~」って方も気をつけてほしいのは普段の食べ物。
甘草は実は醤油やお菓子の味付けに使われていたりすることもあります。
甘草は別名リコリスですので、リコリス菓子にも注意が必要です。
最近、山梔子が入っている漢方薬の副作用で腸間膜静脈硬化症というのも報告されました。
腸間膜静脈硬化症とは静脈が固くなり、流れが悪くなり、虚血といって血がすくない状態になって腹痛や下痢、吐き気や嘔吐がでてくることです。
腸間膜静脈硬化症に関しては5年や10年ぐらい長期に使っている場合に報告される副作用ではありますが、そこまで長期に飲んでいること自体が間違いなのかもしれませんね。
加味逍遙散は女性用??
私はほとんど女性用ではないかと思っています。
勿論論文を探してみると男性にも効果がでたという発表もあるようです。
古典をさかのぼると女性のお悩み以外にも肝臓病に使った例もあります。
漢方の考え方も漢方薬局や漢方医それぞれで考えが違うので、専門家が考えて出すならそれは正解なのかもしれません。
加味逍遙「散」なので、これにも意味があります。
「散」という名前が入っているため、加味逍遙散は散剤で飲むのがベストです。
ですが、ほとんど世に出回っている漢方薬は「エキス顆粒」という名前ですので、散剤で手に入れるのは少し難しいかもしれません。
当店では散剤でご準備しております。
散剤の説明については下のリンクからご覧ください。
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加味逍遙散は体質に合っていて、製法も正しいのが一番効果があります!
いかがでしょうか?
「加味逍遙散は私にあってる気がする!」
「んー…私には違う気もする…」
「加味逍遙散より、逍遙散を飲んでみたい!」
様々なご意見があるかと思いますが、一番よくないのは「効果もないのに飲み続けること」ではないかと思っています。
是非、漢方薬について真剣に考えてみようかな?と思われましたら、お近くの漢方薬局や漢方に詳しいお医者さんにお聞きくださいね。