芍薬甘草湯を毎日飲み続けても大丈夫?こむら返りの予防と甘草の注意|薬剤師の考え

漢方相談前に準備するスマホ、お薬手帳、メモ帳のイメージ

「夜中に足がつるのが怖くて、寝る前に芍薬甘草湯を毎日飲んでいる」

「こむら返りの予防に、ずっと飲み続けても大丈夫?」

ご相談の場で、こうしたご質問をよくいただきます。

先に、私の答えを書きます。
私は、特に医師の指示がなければ、芍薬甘草湯はつったとき・痛いときだけに飲むようお伝えしています。毎日の予防に飲むことは、私個人としては勧めていません。芍薬甘草湯は症状を取る薬で、体質を変える薬ではないと考えているからです。足がつりやすい原因のほうは、別に対策を考える必要があります。
なお、病院で処方されている方(毎日飲むよう指示されている場合を含みます)は、飲み方を含めてご自身の判断でやめたり減らしたりせず、処方医にご相談ください(くわしくは下に書いています)。

この記事では、私がなぜそう考えているのかを、芍薬甘草湯の中身の生薬や古典の記載、甘草という生薬の注意点とあわせて書いていきます。こむら返りそのもののご相談は、こむら返り・足のつりの漢方相談でご案内しています。

この記事はこんな方におすすめ

  • こむら返りが怖くて、芍薬甘草湯を毎日・寝る前に飲んでいる方
  • 芍薬甘草湯をいつ飲めばいいのか、飲み続けてよいのか迷っている方
  • 甘草の副作用やほかの漢方薬との飲み合わせが気になる方
目次

芍薬甘草湯は「つったときの痛み」を取る処方。体質を変える薬ではないと私は考えています

芍薬甘草湯は、名前のとおり芍薬(しゃくやく)と甘草(かんぞう)の2つだけでできた処方です。漢方薬は生薬を5種類、10種類と組み合わせるものが多いので、2つだけというのはとても少ない組み立てです。

出典は後漢の時代の『傷寒論』です。かぜで汗が出て、足がひきつっている人に、誤って汗を出させる処方を与えて手足まで冷えてしまった。そこでまず別の処方(甘草乾姜湯)で体を温め直し、足が温まったところで芍薬甘草湯を与えると「其の脚即ち伸ぶ」、ひきつった脚がすぐに伸びる、と書かれています。古典の中でも、芍薬甘草湯は急にひきつったものをゆるめる場面で出てくる処方です。

芍薬は、ひきつれた筋をゆるめ、痛みをやわらげる生薬です。甘草は、急な痛みやひきつれをやわらげる働きを持ちます。この2つを同じ量ずつ組み合わせて、「いま起きている、つった痛み」に向ける処方です。相談で伺っていると、つったときに飲んで比較的早く楽になったという方が多いと感じます。

裏を返すと、芍薬甘草湯には、つりやすい体そのものを立て直すための生薬は入っていません。芍薬甘草湯は症状を取るだけで、体質を変えているわけではない。私はそう見ています。ここが、毎日の予防に飲むことを私が勧めていない理由につながります。

毎日の予防に勧めない理由は、原因が別にあるから

夜中や明け方に何度も足がつる。そうなると、寝る前に芍薬甘草湯を飲んでおきたくなる気持ちは、よく分かります。

ただ、足がつりやすいのには、その方なりの原因があります。芍薬甘草湯を毎日飲んで、つる回数が減ったように感じても、原因はそのまま残っています。私は、足のつりの原因のほうは、別の漢方で対策しないといけないと考えています。原因の中には医療機関での確認が要るものもあるので(下の「こんなときは漢方より先に医療機関へ」)、そちらを確かめたうえで、体質の面から考えていきます。

つりやすさの原因をどう見ていくかは、こむら返り・足のつりの漢方相談に、私が相談で伺っている見方をまとめています。原因の側を相談で一緒に考えながら、つったときには芍薬甘草湯を使う、という分け方が、私がお伝えしている飲み方です。

もうひとつの理由は甘草の量。甘草の多い処方で私が確認していること

芍薬甘草湯は、甘草がたくさん入っている処方です。ツムラの医療用(ツムラ68)では、1日量7.5gの中に芍薬6.0g・甘草6.0gが入っています。市販のツムラ漢方芍薬甘草湯エキス顆粒でも、1日量(2包)に甘草3gが入っています。

甘草は多くの漢方薬に入っている生薬ですが、量が増えたり長く続いたりすると、むくみや血圧の上昇、手足のだるさ・力が入りにくいといった副作用(偽アルドステロン症、低カリウム血症、ミオパチー)が出ることがあります。くわしくは下の「飲む前・続ける前に確認すること」にまとめています。

そのため私は、甘草の多い漢方を提案するときは、ほかに飲んでいる漢方薬やお薬も合わせた甘草の総量を必ずチェックしています。そのうえで、むくみや血圧、食生活なども問題ないかを伺ってから考えます。つったときに使う芍薬甘草湯でも、つる日が続いて飲む日が増えれば、このチェックはいっそう大事になります。いま飲んでいる漢方薬やお薬があれば、甘草の重なりも含めて一緒に確認します。

芍薬甘草湯の飲み方や、足がつる原因で迷ったら
いま飲んでいる芍薬甘草湯の箱かお薬手帳の写真と、気になっている症状をLINEでお送りください。まず相談の進め方をお返事します。
足がつる時間帯や回数、芍薬甘草湯を飲んでいる頻度、ほかに飲んでいる漢方薬・お薬も、分かる範囲で教えてください。

LINEで相談内容を送る お電話: 072-464-1181

病院で芍薬甘草湯を処方されている方も、そのままご相談いただけます。
メッセージは24時間お送りいただけます(営業時間内に順次返信)。

医師の指示で毎日飲んでいる方へ

ここまで「つったとき・痛いときだけ」と書いてきましたが、これは特に医師の指示がない場合の話です。

人工透析を受けている方や肝臓の病気(肝硬変など)の方のこむら返りなど、医師が病状を見たうえで、芍薬甘草湯を毎日飲むように処方することがあります。その場合は、主治医のもとで血液検査(カリウムなど)や血圧・むくみを確認しながら続けることが大切です。

毎日飲むよう処方されている方や、1日何回と飲み方を決めて処方されている方は、この記事を読んで、ご自身の判断でやめたり、減らしたり、飲む回数を変えたりしないでください。むくみ、血圧の上昇、手足のだるさ・力が入りにくいといった変化に気づいたときや、飲み方に不安があるときは、処方医にご相談ください。ほかの病院で甘草を含む漢方薬を出されている場合も、処方医に伝えてください。

市販品の説明書では「連用しないこと」とされています。医師の指示ではなく、市販の芍薬甘草湯をご自身の判断で毎日飲み続けている方は、購入したお店(薬局・ドラッグストア)の薬剤師・登録販売者に、いまの飲み方を一度ご相談ください。

芍薬甘草湯の効能・効果

添付文書に書かれている効能・効果も、参考までに載せておきます。

■ 芍薬甘草湯
医療用(ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒):急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛、筋肉・関節痛、胃痛、腹痛
一般用(ツムラ漢方芍薬甘草湯エキス顆粒):体力に関わらず使用でき、筋肉の急激なけいれんを伴う痛みのあるものの次の諸症:こむらがえり、筋肉のけいれん、腹痛、腰痛

市販品の効能・効果は製品ごとに少しずつ違いますので、お手持ちの説明書もあわせてご確認ください。

こんなときは漢方より先に医療機関へ

足のつりや、足の痛み・こわばりの陰に、医療機関での確認が要る病気が隠れていることがあります。また、甘草の副作用が出ていることもあります。次のようなときは、芍薬甘草湯を飲み続けて様子を見ずに、受診してください。

すぐに受診してほしいとき(救急も含めて)
・片方の足だけが急に腫れて痛む、赤みや熱っぽさがある(血栓のおそれ)。息切れや胸の痛みを伴うときは救急へ
・動悸が強い、脈が乱れる、気が遠くなる・失神した(失神したときは救急へ)
・手足に力が入らない、立ち上がれないほどの脱力がある、尿の色が赤褐色になった
・急に片側の手足に力が入らない・しびれる、顔の片側がゆがむ、ろれつが回らない(脳卒中のおそれ。すぐに救急車を呼んでください)

早めに受診してほしいとき
・芍薬甘草湯を飲んでいる間に、むくみ、血圧の上昇、手足のだるさ、筋肉の痛みや力の入りにくさが出てきた(市販品は服用をやめて受診を。処方されている方は処方元へご連絡ください)
・足のしびれがある、歩くとふくらはぎやお尻・太ももが痛くなり、休むと楽になる(腰の神経や、足の血管の病気の確認が要ります)
・足がつる回数が急に増えた、夜も眠れないほど頻繁につる
・つる場所がふくらはぎ以外にも広がってきた、筋肉がやせてきた・ぴくぴくする
・新しいお薬を飲み始めてから、足がつるようになった
・心臓病・糖尿病・腎臓病・肝臓の病気・甲状腺の病気がある、利尿薬を飲んでいる
・妊娠中にこむら返りが続く(かかっている産婦人科でご相談ください)

医療機関で確認を受け、大きな病気がないと分かったうえで、体質の面から漢方を考える、という順番で大丈夫です。腰や神経が関係する足の痛み・しびれは、脊柱管狭窄症の漢方相談や坐骨神経痛の漢方相談もあわせてご覧ください。

飲む前・続ける前に確認すること

■ 市販品は「症状があるときのみ」「連用しない」
ツムラ漢方芍薬甘草湯エキス顆粒(一般用)の使用上の注意には、「してはいけないこと」として、症状があるときのみの服用にとどめ、連用しないこと、また心臓病の診断を受けた人は服用しないことと書かれています。5~6回服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、医師・薬剤師・登録販売者に相談すること、とされています。製品ごとに説明書をご確認ください。

■ 飲んではいけない方・飲む期間(医療用)
ツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒(医療用)の電子添文では、アルドステロン症の方、ミオパチーのある方、低カリウム血症のある方には投与しないこと(禁忌)とされています。また、「治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること」とも書かれています。

■ 重大な副作用
医療用の電子添文には、重大な副作用として、間質性肺炎、偽アルドステロン症、うっ血性心不全・心室細動・心室頻拍(Torsade de Pointesを含む)、ミオパチー・横紋筋融解症、肝機能障害・黄疸が記載されています(いずれも頻度不明)。
むくみ・血圧の上昇・体重の増加、手足のだるさ・しびれ・力が入りにくい・筋肉の痛み、動悸・息切れ・めまい・気が遠くなる、せき・息苦しさ・発熱、強いだるさ・皮膚や白目が黄色くなる、といった症状に気づいたら、市販品はすぐに服用をやめて医師の診療を受けてください。処方されている方は、すぐに処方元へご連絡ください。

■ ほかのお薬との重なり(甘草の総量)
甘草を含むほかの漢方薬(葛根湯・補中益気湯・抑肝散など、多くの漢方薬に入っています)や、グリチルリチン酸を含むお薬(かぜ薬・胃腸薬など市販薬にも含まれるものがあります)と一緒に使うと、偽アルドステロン症や、低カリウム血症の結果としてのミオパチーがあらわれやすくなる、とされています。医療用の電子添文では、利尿薬(ループ系・チアジド系)との併用にも注意とされています。ほかの漢方薬・市販薬と一緒に使う前に、ご相談ください。

■ 治療中の病気がある方・ご高齢の方
市販品では、医師の治療を受けている人、高齢者、むくみのある人、高血圧・腎臓病の診断を受けた人は、服用前に医師・薬剤師・登録販売者に相談すること、とされています。医療用でも、ご高齢の方は「減量するなど注意すること」とされています。

■ 妊娠中・授乳中・お子さま
医療用では、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」、授乳中は「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」とされています。市販品でも、妊婦または妊娠していると思われる人は服用前に相談すること、とされています。お子さまは用法が製品ごとに違いますので、説明書をご確認のうえ、ご相談ください。

■ 処方されている方へ
処方されている芍薬甘草湯(毎日飲むよう指示されている場合も含みます)を、ご自身の判断で中止・減量・変更しないでください。飲んでいるお薬・市販薬・サプリメントは、まとめてお知らせください。

よくある質問

Q. 夜中につるのが怖いので、寝る前に毎日飲んでおいてもいいですか?

特に医師の指示がなければ、私は勧めていません。芍薬甘草湯は、つったときの痛みを取る薬で、つりやすい体質を変える薬ではないと考えているからです。甘草も多く入っているので、毎日となると甘草の総量やむくみ・血圧のチェックが欠かせません。夜中につるのが続くなら、つりやすい原因のほうを一緒に考えましょう。

Q. 医師から毎日飲むように言われています。やめたほうがいいですか?

ご自身の判断でやめたり減らしたりしないでください。医師が病状を見たうえで、毎日の服用を指示していることがあります(くわしくは上の「医師の指示で毎日飲んでいる方へ」に書いています)。飲み方に不安があるときは処方医にご相談ください。ほかに飲んでいる漢方薬や市販薬との甘草の重なりが気になるときは、製品名をLINEで送っていただければ一緒に確認します。

Q. つったときに飲んでも、なかなか楽になりません。

芍薬甘草湯は、急につった痛みに向ける処方です。何度か飲んでも楽にならないときは、飲み続けずに一度立ち止まってください。市販品でも、5~6回服用しても症状がよくならない場合は服用を中止して相談すること、とされています。つる回数が増えている、しびれや歩くと痛むといった症状がある場合は、上の「こんなときは漢方より先に医療機関へ」も確認してください。処方されている方は、処方元に経過を伝えてください。

Q. ほかの漢方薬を飲んでいても、芍薬甘草湯を使っていいですか?

甘草はとても多くの漢方薬に入っているので、一緒に使うときは、甘草が重なっていないかを先に確かめたいところです。私は、甘草の多い漢方を提案するときは、ほかに飲んでいるものも合わせた甘草の総量を必ずチェックしています。飲んでいる漢方薬の製品名を、芍薬甘草湯とあわせてLINEで送っていただければ確認します。

最後に

芍薬甘草湯は、つったときの痛みに向ける処方です。特に医師の指示がなければ、痛いときだけ飲んでいただき、毎日の予防には使わない。足がつりやすい原因のほうは、医療機関で確かめるべきものを確かめたうえで、別の漢方で対策する。これが、私がお伝えしている飲み方です。

足がつる時間帯や回数、芍薬甘草湯を飲んでいる頻度、ほかに飲んでいる漢方薬やお薬。分かる範囲でLINEに送っていただければ、そこから一緒に考えます。

こむら返りの原因の側から相談したい方は、下のページもどうぞ。

こむら返り・足のつりの漢方相談 脊柱管狭窄症の漢方相談

病院のお薬を飲んでいる方の相談については、当店の漢方薬のご相談・お取り扱いについてもあわせてご覧ください。

費用が気になる方は、相談前に料金の目安もご確認いただけます。無理な購入をおすすめすることはありません。

相談前に料金の目安を確認する

いきなり相談するのは気が引ける、という方は、先にLINEの「かんたん体質チェック」(13問・お名前不要・1〜2分)をお使いください。私が回答に目を通して、体質面から見たポイントを原則翌営業日までにLINEでお返しします。
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LINEで相談内容を送る お電話: 072-464-1181 ご予約フォーム

メッセージは24時間お送りいただけます(営業時間内に順次返信)。

処方薬は自己判断で中止・減量・変更しないでください。副作用が疑われる症状が出たときは、上の「飲む前・続ける前に確認すること」のとおり、早めに処方元または医療機関へご連絡ください。
本ページの内容は、芍薬甘草湯の考え方と飲み方を薬剤師の見方でまとめた情報提供であり、特定の方の治療効果や効能を保証するものではありません。添付文書の引用は、PMDA(医薬品医療機器総合機構)に掲載されているツムラ芍薬甘草湯エキス顆粒(医療用)電子添文、ツムラ漢方芍薬甘草湯エキス顆粒(一般用)の使用上の注意によります(2026年9月時点)。
※ 漢方薬の体感には個人差があり、症状の変化を保証するものではありません。漢方相談は医療機関での診断・治療を尊重しながら、体質面のご相談として承ります。急な症状の悪化や救急の場合は、医療機関の受診を優先してください。
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この記事を書いた人

神皇漢方薬局の相談担当薬剤師。体質・服薬状況・生活背景を確認しながら、医療機関での診断・治療を尊重した漢方相談を行っています。関西伝漢研 理事長。

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